もし真田幸村が方向オンチだったら

「佐助ー! ここはどこだー!?」
「あー、旦那旦那。そこ曲がると、独眼竜の旦那がいるから……」
何年経っても方向オンチは相変わらずだ。
小さい頃は御館様のお使いで城下に出ることがあったけれど、その度に俺様もついって行ったけ……
あの時は可愛いかったなぁ。
離れまいとして必死に服にしがみ付いてきたとことか。
迷子になった時は、目に涙をいっぱい溜めて「何故いきなり消えたりする!!」って叩かれたっけ。
消えたのは旦那だったんだけど。
あ、それと語弊が生じるようだけど、勿論今の旦那も凄く可愛いから!!
「佐助! 此処を曲がればよいのだな?」
「え、うん」
駄目駄目、今はそんなこと思い出している暇なんて無い。
どうも、俺様らしくないねぇ……
「って、あれ? 旦那右に曲がった?」
「あぁ。こちらに政宗殿が居るのだろう?」
「左、左に曲がって!! そっちには崖が……」


inserted by FC2 system